東京でパーソナルトレーナーをしている安藤ひろゆき(@PThiroando)です。
先日、あるテレビ番組で『腸の特集』が放送されたそうです。
その中で、スーパー大麦腸活ダイエットというものが紹介されていたそうです。
簡単に言うと、スーパー大麦を食べることで、腸内のヤセ菌が増えて、痩せるというものです。
テレビでは、5名の方が2週間チャレンジをされて、4名はダイエット効果があったそうです。
この話を教えて頂き、調べたのですが、結論から言うと
『スーパー大麦を食べたから痩せたわけではない』
ということです。
今日は、スーパー大麦食べても、ダイエットが出来ない理由をお話したいと思います!
スーパー大麦とは?
番組で紹介されていたスーパー大麦ですが、番組では、
オーストラリアでは、肥満や大腸がん患者の増加が社会的な問題となっており、そこで国をあげて10年かけて作り上げた腸のために作られた最強食材です。
と紹介されていました。
これ、オーストラリアの食材ではありません。
日本では『もち麦』として昔からある食材です。
『スーパー』とかつけるといかにも凄そうですもんね。(苦笑)
単純に昔からある『もち麦』を『スーパー大麦』って呼んでるだけで、モノは同じです。
読者さまよりスーパー大麦「バーリーマックス®」は商標との連絡を頂きました。
スーパー大麦「バーリーマックス®」はオーストラリアで開発された食材です。
大麦に比べて食物繊維量やレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が多い食材とのことです。
参考:スーパー大麦「バーリーマックス®」とは
テレビで放送されたものが、スーパー大麦「バーリーマックス®」だったのかは定かではありませんが、もち麦と同一ではない可能性があるので、追記させていただいました。
スーパー大麦のダイエット効果
スーパー大麦を食べることで、腸内の『ヤセ菌』が増えて、『デブ菌』が減るので、ダイエット効果があると番組では言われていました。
『ヤセ菌』『デブ菌』、これもキャッチーな名前ですね。
それぞれの本当の名前は、
『ヤセ菌』:バクテロイデス門
『デブ菌』:ファーミキューテス門
という名前です。
ヤセ菌、デブ菌という言葉を聞くと、
『ヤセ菌』:善玉菌
『デブ菌』:悪玉菌
というイメージを持たれると思いますが、バクテロイデス門、ファーミキューテス門もどちらも腸内の『日和見菌』です。
日和見菌(ひよりみきん)とは、
日和見というのは、「有利なほうにつくこと、形勢をうかがうこと」という意味です。
そんな言葉がついた菌なので、「善玉菌でも悪玉菌にも当てはまらないけど、強い方につきます」という菌のことです。
善玉菌が強い時には善玉菌側、体調が悪くなったりして、悪玉菌が強いと悪玉菌側になってしまうという菌です。
実は、日和見菌は善玉菌や悪玉菌よりも数は多い。
健康な人の場合、善玉菌15%、悪玉菌10%、日和見菌75%の割合で腸内細菌のバランスが取れていると言われています。
つまり、人間の腸内最近の大部分を占めている細菌です。
これが痩せる効果があるかは怪しいところです。。。
なぜ、ヤセ菌と呼ばれるようになったのか?
では、なぜヤセ菌、デブ菌という言葉が出来たのでしょうか?
ワシントン大学の研究で、肥満型の個体と正常型の個体の間では、腸内フローラに以下のような異なる傾向があることがわかったそうです。
- 肥満型の腸内フローラの傾向:ファーミキューテス門が多く、バクテロイデス門が少ない
- 正常型の腸内フローラの傾向:バクテロイデス門が多く、ファーミキューテス門が少ない
更に、バクテロイデス門は、血中から脂肪細胞に吸収される脂肪の量を制限する『短鎖脂肪酸』を生合成することから、バクテロイデス門が多いと血中の『短鎖脂肪酸』が多くなり、食事から余分なエネルギーを吸収しにくくなる(脂肪として蓄えにくい。体重が増えにくい)ことが推測される。
ファーミキューテス門が多いと血中の短鎖脂肪酸が少なくなり、食事からのエネルギー回収率が高くなる(脂肪として蓄えやすくなる。体重が増える)、ということが推測される。
以上のことから、以下のようなことが推測されました。
バクテロイデス門が多いと太りにくい → バクテロイデスを増やせば痩せられる →バクテロイデス門がヤセ菌
ファーミキューテス門が多いと太りやすい → ファーミキューテスを減らせば痩せられる → ファーミキューテス門がデブ菌
この傾向を利用したのが、スーパー大麦整腸活ダイエットということになります。
参考: アメリカのワシントン大学医学部、ジェフリー・ゴードン博士のグループの研究 –
An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest
これはあくまでも傾向にすぎない。。。
これって、でも、バクテロイデス門が太る原因だと特定できたわけではないんです。
あくまでも、肥満の人の腸内フローラの傾向が、ファーミキューテス門>バクテロイデス門だったというだけです。
まだ原因の特定には至っていないので、テレビで言われていたように断言するのはどうなのかなと思っています。
なぜ、5名中4名が痩せたのか?
『それでも、スーパー大麦食べて4人も痩せてるじゃん!』って意見もあると思います。
確かにそうですね。
でも、この番組での効果の出た4名の声に注目してください。
4人とも『便通が良くなった!』と言っています。
これがこのダイエットの肝です。
ヤセ菌が増えた、デブ菌が増えたはあまり関係ないのです。
現に、結果があまり出なかった八代亜紀さんは、デブ菌が増えているのに、微量とは言え、痩せていました。
これでは、デブ菌、ヤセ菌の説明がつきませんよね?
推測されることは、スーパー大麦を食べて、食物繊維を通常よりも摂取したことにより、
- 便通が良くなり、腸内の老廃物が便として出た!
- 快便になったことで代謝が上がった!
というのが、ダイエット効果をもたらした要因だと考えられます。
何がいいたいかというと、
食物繊維が取れて、便通が良くなるなら、スーパー大麦じゃなくてもいい!
ってことです。
たまたまその食材が今回はスーパー大麦だったというだけです。
便通があまり無いという方にはオススメかも
以上のようなことから、全ての人にダイエット効果は期待できません。
ですが、便通があまり無い人には、効果的なダイエットかもしれません。
ただ、スーパー大麦でなくても、お米を食べるようにするなどで解消できる可能性も十分あるのではないかと僕は考えています。
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