パーソナルトレーナー・ヘルスコーチをしている安藤ひろゆき(@PThiroando)です。
9月16日放送のマツコ会議、見ましたか?
パーソナルトレーナー養成スクールが紹介されていました。
パーソナルトレーナー養成スクールがテレビに取材される時代になったんだなと改めて感じることと、テレビの影響力の大きさを放送翌日から感じています。
この放送を見たパーソナルトレーナーさんが様々な記事をかかれています。
僕自身も放送を拝見して、色々と感じることがあり、今回ブログに記事を書くことにしました。
まず、放送を見て、思ったことは、以下の3つです。
- パーソナルトレーナーをより知ってもらえるキッカケになった!
- パーソナルトレーナーってまだまだイロモノ扱いされてるんだな。。。
- パーソナルトレーナーになりたいって人増えるんだろうな。。。
15年以上パーソナルトレーナーで生計を立ててきて、パーソナルトレーナーさんのコンサルティング、パーソナルトレーニングのジムのプロデュース、コンサルティングをさせて頂いている身として言えることは、
そんなにパーソナルトレーナーで稼ぐのは簡単ではありません!
ってことです。
パーソナルトレーナーになるだけなら、6ヶ月も時間はかかりません。
ただ、それを職業にする。
プロのパーソナルトレーナーとして、やっていくというのであれば、相当な努力が必要であることは間違いありません。
今回は、9月16日のマツコ会議、パーソナルトレーナー養成スクールの放送を見て感じたことを書かせて頂きます!
誰でもなれるパーソナルトレーナー
まず初めに、パーソナルトレーナーになる方法をご説明したいと思います。
実は、パーソナルトレーナーには誰でもなれます。
その方法は、
『私は、パーソナルトレーナーです!』
と名乗るだけです。
これで、今日から、あなたもパーソナルトレーナーになれます!
パーソナルトレーナーになるのに、特別な資格は必要ありません。
日本で、パーソナルトレーナーを含む、スポーツトレーナーと呼ばれる職業につくために絶対に取得しなければならない資格はありません。
美容師さんのように、国家資格を取得する必要はないのです。
つまり、誰でもパーソナルトレーナーになることが出来ます。
とはいえ、
技術が全くない。
知識が全くない。
では、さすがに指導者は務まらないので、今回のような養成スクールなどに入って、知識・技術を学ぶ場合が多いです。
ちなみに日本で発行されている主要なパーソナルトレーナー資格で、実技試験があるものはありません。
筆記試験のみで資格が発行されるのが、日本のパーソナルトレーナーの民間資格の現状です。
そのため、マツコさんが放送の冒頭で、お話されていたように
人気職業になってきている。
一部の人は本当に成功してる。
白金あたりのマンション借りてやっている人もいれば、今日食べるのも大変なパーソナルトレーナーもいる。
そりゃ、どの世界でも一緒でしょ?
というのが、現状です。
余談ですが、マツコさんは売れっ子パーソナルトレーナーとも親交があり、パーソナルトレーナー業界のことをよくご存じです。
パーソナルトレーナーは誰でも名乗れるけど、売れっ子パーソナルトレーナーには誰でもなれるわけではない。
ということです。
詳しいパーソナルトレーナーの現状は、友人の岡林保憲トレーナーがこちらに書いていますので、ご覧ください!
≫マツコ会議で取り上げられたパーソナルトレーナーの実情を現役トレーナーが暴露
マツコ会議の放送を見て生まれる2つの誤解
誰でもパーソナルトレーナーになれることはお分かりいただけたかと思います。
そういう印象があるためなのか、放送内容もそのような印象を残す放送内容となっていました。
個人的にこの放送を見て、以下の2つの誤解が生まれるなと感じました。
- パーソナルトレーナーって稼げるんだ!
- パーソナルトレーナーに私でもなれるかも!
その 1:パーソナルトレーナーって稼げるんだ!という誤解
放送の中でマツコさんが言われているように、稼いでいるパーソナルトレーナーさんがいるのは事実です。
その一方、生活は出来るけど。。。というパーソナルトレーナーさんが大勢いるのも事実です。
今回の放送で登場された、養成スクール講師の宮城島トレーナーの年収を計算する場面がありました。
その中で、宮城島トレーナーは、『月に約170本トレーニングをしている』とおっしゃっていました。
この170本の1本とは、パーソナルトレーナー業界では1時間のパーソナルトレーニングセッションを提供した場合に使う言葉です。
つまり、宮城島トレーナーは、月間170時間のパーソナルトレーニングセッションをこなしていることになります。
トレーニング単価が7,000円〜15,000円とおっしゃっていたので、1本を1時間で計算されているかは微妙ですが。。。
これを、週休2日、月に22日稼働と考えると1日7.7本となります。
1日7〜8本、つまり7〜8時間はパーソナルトレーニングセッションされていることになります。
これは、トレーニングセッションの予約が隙間なく入った場合の想定です。
休憩や空き時間、事務作業の時間やクライアントとのメールのやり取りなどを含めるとかなりの時間が必要になります。
さらに、週に1回とはいえ、養成スクールの講師を務めるとなると、どのくらいの時間を仕事に使われているのかが気になるところです。
ちなみに、パーソナルトレーニングセッションのみで、3,000万円以上稼いでいるパーソナルトレーナーにこの15年間で出会ったことがありません。
パーソナルトレーナーと名乗っていて、様々な事業(ジム事業・スクール事業・コンサルティング事業など)をされていて、3,000万円以上稼いでいるトレーナーさんは実在しますし、実際にお会いしたことがあります。
ですが、これはトップ1%にも満たない人数です。
パーソナルトレーナーの売上の計算は、『セッション数 × セッション単価』で基本決まります。
つまり、
時間をたくさん使うか。
単価を上げるか。
しか自分の売上を上げていくことは出来ないのです。
この2つのどちらかを増やすことで、パーソナルトレーナーの収入は増えるのです。
と考えると、趣味の延長で、自分の気ままな時間にパーソナルトレーナーとして活動して、めちゃくちゃ稼ぐ!みたいなことが起こることはほぼありません。
パーソナルトレーナーとして稼ぐには、パーソナルトレーニングをビジネスと考え、しっかりと取り組む必要があります。
その 2:パーソナルトレーナーに私でもなれるかも!という誤解
冒頭からお話しているように、パーソナルトレーナーには誰でもなれます。
その印象があるのと、今回のパーソナルトレーナー養成スクールは、経験ゼロからパーソナルトレーナーになりたい方を対象としているため、
TV制作側:こんな人もパーソナルトレーナーを目指しています!「えー!!」という絵が欲しい。
スクール側:こんな人もスクールに通っています。視聴者に「あ、私でもいけるかも」と思って欲しい。
という両者の思惑が一致しています。
それが証拠に、今回の放送で紹介されたスクール生の方々は、
生徒① 32歳主婦
出産で20Kg 太ったのがきっかけ。
独学で25Kg減量したが病んでしまったので、同じような人のために指導する人間になりたいと思った。
元夜のお仕事の接客スキルを活かして、褒めて伸ばすトレーナーとして活動したい!
生徒② 大学中退の19歳女性
大学は体育会系でなく、トレーニング経験も全くなし。
元カレに振られて痩せてやろうと思い、大学をやめて、養成スクールに入った。
結婚する花嫁さんのサポートするトレーナーになりたい!
生徒③ 23歳大学生男性
現役の経済大学の学生。体育経験なし。
元々アイドルの追っかけ。
オタ芸に出会い、オタ芸とフィットネスを掛け合わせた「オタフィット」を世の中に広めたい。
以前クラウドファンディングで出資者を募ったが、大失敗。
しっかりスクールに通って、パーソナルトレーナーの技術とスキルを学ぼうと思っている。
生徒④ フィギュアスケートのインストラクター女性
元シンクロナイズドスケーティング日本代表とカナダ代表
スケート場が少なすぎて食べていけない。
空いてる時間をパーソナルトレーナーとして活動したい。
生徒⑤ 子連れの女性
子供をオリンピック選手にしたいので勉強している。
子供は6か月からスイミング、1歳半から体操。
体操が好きなのでこのまま体操で行ってくれたら。。。
先生もオリンピックを目指せるかもと言ってくれている。
ママ自身も「元プロキックボクサー」アマチュア日本一。
この5つのケースを見ると、多くの人が『あ、私でもいけるかも』と思ってしまうと感じました。
実際に放送後から、弊社が運営するトレーナーさん向けに情報を配信しているLINEには、主婦の方や筋トレ好きの方々から、
『自分でもパーソナルトレーナーになれますか?』
という相談を毎日数件頂いています。
この記事にも書いてありますが、プロのパーソナルトレーナーとして活動していくには知らなければならないことがたくさんあります。
ただ、現状パーソナルトレーニングを必要とされる方々のニーズは、いわゆる身体を変えるダイエットやボディメイクがほとんどです。
その最も多いニーズのダイエットやボディメイクのトレーナーは、短期間で養成が可能です。
なぜなら、ダイエットやボディメイクの指導は、トレーニング指導より、栄養指導・食事管理が大切だからです。
栄養指導・食事管理が出来れば、ダイエットが成功するのは、この本が大ヒットしたことで証明されています。
このため、栄養指導・食事管理が出来ると誰でもダイエット指導のパーソナルトレーナーになれるのです。
現在日本で流行っている糖質を全く摂らない指導方法は、体重減少は一時的に起こります。
ですが、落とした体重を健康的に維持するのはほぼ不可能です。
このような食事指導は身体の中でどんなことが起こっているのかを知らないパーソナルトレーナーが指導を行っている場合が多いので、注意が必要です。
人の身体に関わることはそんなに簡単なことではありません。
この放送を見て、パーソナルトレーナーを目指す人が増えることは、業界として喜ぶべきことです。
なぜなら、パーソナルトレーナー業界は人材が不足しているからです。
その一方で、簡単に稼げるようになる職業という印象がつかないように啓蒙活動をしていく必要があります。
人の身体に関わっていくということは、その人の一生に関わることとほぼ同じだからです。
知り合いのパーソナルトレーナーの中には、自分の知識不足による指導が原因で、クライアントの健康被害や死を招いたと感じて、懸命に勉強して、正しい知識を啓蒙して人もいます。
人の身体は勉強すれば、勉強するほど神秘に満ちていて、まだまだ分からないことがたくさんあります。
その一方で、間違ったことをすれば、すぐに身体の状態が悪化してしまいます。
人間の身体に関わるプロとして、クライアントとしっかりと向き合う
そのために自分の知識・技術の向上をトレーナーを辞めるまで続ける
という覚悟がないのなら、パーソナルトレーナーを生業とするのは、おすすめできません。
これが15年パーソナルトレーナーとして活動して、様々なパーソナルトレーナーさんの実態を見てきている僕がお話できることです。
それでもパーソナルトレーナーを目指す人をお待ちしております!
厳しい現実をお話しましたが、パーソナルトレーナーという仕事は素晴らしい職業です!
ビジネスとして、しっかりと取り組めば、成功をおさめる事は可能です。
ですが、
- 筋トレが好きだから
- 自分がダイエットできたから
- 稼げそうだから
という気持ちだけで成功するほど甘い世界ではありません!
こうした気持ちをキッカケに、プロとして、苦労を経験しても乗り切る覚悟と、人の身体を扱う仕事としての努力をする覚悟のある人は、ぜひパーソナルトレーナーを目指してください!
一緒にパーソナルトレーナー業界を盛り上げていきましょう!
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